【声明】神戸石炭火力新設環境アセス 確定通知取消行政訴訟 市民にCO2を争う権利認めず。問われる日本の温暖化対策(2021/03/15)

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<プレスリリース>

2021年3月15日

神戸石炭火力新設環境アセス 確定通知取消行政訴訟
市民にCO2を争う権利認めず。問われる日本の温暖化対策

神戸製鋼石炭火力行政訴訟原告団・弁護団

 

判決後、旗出しを行う原告と弁護団

本日、大阪地方裁判所第2民事部は、地元住民らが、経済産業大臣が行った神戸市灘区に建設中の神戸製鋼石炭火力発電所(130万kW。年間CO2排出量約700万t)の環境影響評価書(本件アセス)の確定通知の取消を求めた訴えを棄却する判決を下しました。確定通知とは、経済産業大臣が神戸製鋼の石炭火力発電所の環境アセスを審査して(本件審査)、環境の保全へ適正な配慮を行っていると判断した、いわば「合格通知」です。

原告ら住民は、本件アセスが、深刻な大気汚染物質であるPM2.5の影響を調査、予測、評価せず、大量のCO2を出す本件火力発電所新設は2℃(1.5℃)目標を目指すパリ協定下での日本のCO2削減目標と整合しないことを看過したものと厳しく批判してきました。しかし、裁判所は、PM2.5については評価手法が確立しておらず、浮遊状粒子物質(SPM)の評価が行われているなどとして、本件審査が違法とまでは言えないと判断しました。

PM2.5はSPMより粒子が小さく肺の奥深く入り込む大気汚染物質で、SPMで代替することはできません。先進国の環境アセスではPM2.5を調査等の対象としています。人口密集地での石炭火力発電所について、PM2.5をアセスの対象としなくても違法とはいえないのであれば、環境影響評価法そのものを抜本的に見直さなければなりません。

さらに裁判所は、パリ協定の下、世界が2℃(1.5℃)目標に向けて2050年脱炭素に取り組むなか、CO2について原告適格を認めず、傍論として、「局長級会議とりまとめ(2013年)」によったことについても、一概に不合理であったとはいえないとして行政の裁量の範囲内だと判断しました。「局長級会議とりまとめ」とは、高効率の石炭火力であれば、国のCO2削減目標と整合するとみなして石炭火力発電建設を推進してきた行政のとりきめです。グテ―レス国連事務総長は、2030年までに石炭火力発電所を廃止すべきと重ねて指摘しています。これは、石炭火力発電所の新設を続ける日本に向けられたものです。にもかかわらず、削減目標の達成の仕方や事業者にどのような環境配慮をさせるかは行政の高度な政策的判断として立ち入らなかった本判決は、結果的に本件新設を容認し、2030年目標の達成や2050年脱炭素の実現を危うくするものといわざるを得ません。

とはいえ、裁判所は、環境大臣が示した2030年石炭火力からの排出量に止めることができない懸念について、「火力発電所の無秩序な新設・増設計画を抑制することで対処するしかない」、そのために「許可制に改める」などでなければ、現行法の範囲内でとりうる手段は限られているとも指摘しています。

1.5℃の気温上昇に止めることは現在世代の私たちの子どもたちへの責務であり、国際社会における日本の責務です。現行法の問題にも触れた裁判所の指摘を真摯に受け止め、ただちに環境影響評価法及び電気事業法の見直しを含む気候変動対策の実効的な法制度の整備を行うことを強く求めるものです。また、全世界に対する「公害」ともいうべき大量のCO2を排出し続ける本件石炭火力発電所を建設中の神戸製鋼とそこからの電気を長期間、継続的に買い上げる関西電力に対して、事業の見直しを強く求めます。

最後に、私たち市民1人1人が地球の未来と将来世代のために、2050年脱炭素に向けて「汚い電気」は使わない、資源の無駄遣いをしないことを広く呼びかけます。

【問い合わせ先】
神戸石炭訴訟URL https://kobeclimatecase.jp/
神戸の石炭火力発電を考える会 TEL: 080-2349-0490  https://kobesekitan.jimdo.com/

 

声明全文(PDF

判決骨子・要旨(PDF

判決文(PDF

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