2018年は、日本全国で熱波や集中豪雨、洪水など深刻な異常気象にみまわれました。気候変動がさらに進めば、これらの被害はさらに拡大し、私たちのくらしは今以上に大きなリスクにおびやかされます。
気候変動の最大の原因のひとつが石炭火力発電所からの二酸化炭素(CO2)の排出です。ところが日本では、今でもたくさんの石炭火力発電所が建設されようとしています。なかでも、人口が密集する神戸市南部には、すでに2基の石炭火力発電所が運転しているところに、さらに2基、とても大きな石炭火力発電所の建設計画が進んでいます。
もしこの発電所が建設されれば、有害な大気汚染物質を大量に排出し、地域住民の健康被害が広がります。また、地球温暖化へのとりくみに逆行して、大量のCO2も排出してしまいます。しかし日本には石炭火力発電所の計画をとめる規制はありません。長い間大気汚染に苦しめられている地域の住民は計画に反対してきましたが、2018年の夏までに、工事計画が提出されてしまいました。
そこで、神戸市に住む住民が中心となって、2つの裁判を始めました。一つは、事業者である神戸製鋼、その子会社のコベルコパワー神戸第二、関西電力に対して、発電所の建設と稼働の差し止めを求めるものです。もう一つは、国(政府)が、法律にもとづく手続きや基準を通じてこの計画をとめる規制をせず、環境への影響評価が不十分なまま計画を認めていることは、法律違反ではないかと問うものです。
神戸の住民が中心になって始まったこの裁判は、大気汚染を防ぎ、気候変動を防ぎ、持続可能なエネルギーにシフトすることを通じて、子どもたちに未来をつなぎたいという強い思いによって進められています。
発電所の概要
神戸製鋼発電所計画とは、神戸市灘区の住宅地からわずか400メートルという場所に2基の発電所を建設する計画です。近隣にはたくさんの学校や病院があります。すでに、2018年5月に国の環境影響評価手続きは終了し、同年の夏には工事計画が提出されています。
燃 料 | 石炭 |
設備容量 | 130万kW(65万kW×2基) |
発電技術 | 微粉炭火カ・超々臨界圧発電(USC) 二酸化炭素回収貯留技術はなし |
稼働予定 | 3号機 2021年度稼働予定 4号機 2022年度稼働予定 |
計画地 | 兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地 |